娘DOKYU@ガッタスシリーズ

第48回 第2回739カップ決勝その2


その1分後に先ずは同点にした。是永がこぼれ玉を拾いゴールへ向かってドリブル。是永の斜め右にあさみ斜め左に吉澤。ドリブルをしながら敵DFを引きつける。あさみが指を吉澤方面へ指し”向こうへ出せ”と合図。是永は一つあさみ側へドリブルをして敵DFを完全に引き付けてタイミング良く吉澤へスルーパス。斜め後ろからの難しいボールに対し吉澤はダイレクトでシュート。GK河辺の動きをしっかり見ながら打ったそのシュートは綺麗にゴール右角に決まった。これで1-1。

しかしまた直ぐに1点目を決められた格好と同じ方法で是永が小島に振り切られる。普段の是永であれば諦めずに最後まで追いかけたに違いない。しかし自分のミスで1点決められたことがあったのか是永は焦って届きそうも無いボールにジャンプしてヘッディングをしようとする。今までの彼女からは考えられない。明らかに自分のミスから決められてしまったという事が狂わせたプレーだった。ボールはジャンプした是永の頭上を超え小島の元に綺麗に収まる。是永はジャンプした事が仇になり全く小島には追いつけない。小島は自分のマーカーを捨ててカバーリングにきた里田を交わし右足で強烈にシュート。ボールはニアを抜かれた紺野の右手を掠めゴールに突き刺さった。是永が焦らずに里田のカバーリングを信じてジャンプをせず追いつこうと走っていたらもしかしたら防げたかもしれない失点だった。しかし是永を攻める気には僕は全くなれない。そんなこと出来ない。彼女はいつも期待されていた。彼女に掛かるプレッシャーがどれほどの物だったか僕には想像できない。そしてそれに負けず彼女は期待以上のプレーをいつもしてきた。強い責任感から彼女はジャンプしたんだと思った。自分が何とかしなきゃいけないと思っていたのかもしれない。この後のキックオフ直後に全く届きそうも無いボールに向かって走り敵選手に思いっきり不恰好に体当たりをしている是永美記を見て僕は涙が止まらなかった。”チーム全員で皆で勝つ”という事の本当の意味を此処で分かった様な気がした。きっと是永美記をそこから救う為なんだ。


時間は残り1分半。左サイドからのキックインから同点ゴールは生まれた。吉澤が是永の前にあるスペースへボールを蹴る。走りこんできた是永が体ごとボールに飛び付きボレーでシュートを狙う。体を寄せていた敵DFに防がれるもこぼれたボールはあさみの元へ。ワンタッチでスマートにボールを自分の支配下に置くとノンステップ気味に小さく振りぬく。振り被らずノンモーションで振り切ったことからGK河辺は反応が完全に遅れた。決してスピードがある訳でもないそのシュートはGKの手をすり抜けゴールネットを揺らした。3試合3ゴール。あさみはこの大会で一躍stardomに駆け上がった。




時間は進みスコアは2-2で試合は終了した。




そしてPK戦。



ここを自分の見せ場にしようと思っている頼もしい選手が幾人かいた。


(続く)