個人的メモ@Flying Pickets
全部同じ曲Yazの「OnlyYou」。
実はその前の「アカペラ」のプレイリストのときもフライングピケッツのカバー版の感想もいくつかいただいていて、微妙に関連している。興味深いのはフライングピケッツのアカペラカバーの方がいい。という意見がいくつか、チャットでもそんな感想をもらった。
そうかもしれない。
もっと面白かったのはYazのOnly Youは誰のカバーかと、尋ねられた。
そう聞こえるかもしれない。
Yazはヴィンス・クラークとアリソンモイエット(モイエ)の男女による、80年代のエレポップグループだ。
このヴィンス・クラークという人は、在籍していたデペッシュモードでも、Yazでも、その後のシングルでもやることが一緒で、現在もErasureで、イギリスの国民的ポップグループだったりする。
チープなシンセの音と、口ずさめる単純なメロディ。
延々これを繰り返している。しかし全世界ヒット目前でデペッシュモードを脱退して、Yazで送り出した「OnlyYou」は、とても斬新だった。
当時の本当にチープな音色のエレポップは、まるで欠けたものを埋めるかのように、叙情的に流れていった者は多かったのだけどその中でも出色。Yazとしても飛びぬけてポップだ。
ピコピコ音をバックにソウルフルに、(しかもソウルフルでない)曲を歌うアリソンモイエットの組み合わせは鳥肌ものだったことを良く覚えている。その静かな驚きはパンクと同じニオイがした。なんか新しい。って。
当時、劇的に電子楽器の値段が下がり、例えば指一本でしか鍵盤をひけないマーティンウエアは、ヒューマンリーグからヘブン17でヒットを飛ばし、気がつけば本場アメリカの錚々たるソウルシンガーのプロデュース依頼が殺到したなんて、成功物語を生んだ。
つまりはちょっとした「コシの引けたパンク」みたいな趣もあった。とにかくシンセを買ってバンドをはじめようぜ。だ。
「Omly You」は当時の人気シンガーリタ・クーリッジがカバーしてアメリカでもヒットを飛ばし、その後もカバーが続いてフライング・ピケッツに至る。フライングピケッツバージョンは、CMや映画で頻繁に使われている。
前述のようにYazは解散し、アリソンモイエットはその歌声を武器に「普通」のシンガーとして良いアルバムを出している。ヴィンスクラークはその後、いくつかの素晴らしいシングルを出した後、アリソンモイエットと良く似た声質の「男性」アンディ・ベルとのデュオErasureで成功し今に至る。驚くことにそのコンセプトは不変だ。
チープなシンセの音、単純なメロディ、ソウルフルな歌。
時代は流れた。
薄っぺらいが故に素晴らしい「Only You」は、時代のアクが抜けてエヴァーグリーンになったといえるかもしれない。そしてメロディが残った。というわけだ。
何もなかった80年代と散々言われたが確かにあったのだ。
フライングピケッツとあわせて聴くとき、それを実感する。
http://tin.hippy.jp/airbonchi/cgi-bin/tin/cn2/
から
Flying Pickets@アカペラグループ
デビッド・ボウイー : Space Oddity
トーキング・ヘッズ : Psycho Killer
ボブ・ディラン : Masters of War
ローリング・ストーンズ : Get Off My Cloud
ライチャス・ブラザース : You've Lost That Lovin' Feeling (ふられた気持ち)
マーヴィン・ゲイ : I Heard It Through the Grapevine (悲しいうわさ)
などを演っていた男性4人か5人.
「Only You」は2年くらい前,サントリー「贅沢熟成」とかいうビールのCMで使われている。
「Only You」のオリジナルは Yazoo.
'80年代前半のVince Clarke(♂・シンセ)とAlison Moyet(♀・ヴォーカル)のデュオで,82年の1stアルバム「Upstairs at Eric's」に入ってる.
Rita Coolidge(♀)も85年ごろ歌っている.
Flying Picketsの公式
http://www.pickets.co.uk/